
SNSでは癌に関する闘病の報告はしたものの、基本的にあまり重い話題をふるのも憚られるので、闘病に関しての投稿はしないようにしていましたが、こちらで備忘録程度に書く分にはいいだろうという判断で、筆者の抗がん剤の体感を記述しておこうと思います。
抗がん剤はその名の通り癌細胞をやっつけるための薬で、いわゆる総称です。当然使われる部位、内容、タイミングによってレシピは変わります。ざっくり分けると
:手術で切り取れたので、その後に見えない癌細胞をやっつけておくための抗がん剤のパターン
:手術だけで対処するのは厳しいので抗がん剤でなんとかしてしまおうというパターン
当然、前者と後者とでそのキツさは変わります。
幸い私はリンパ節に転移はしていたものの、切除が出来た事、他に目に見えた追加の転移はなかったので、基本的なレシピの抗がん剤でした。
抗がん剤をしていても働けます、怖くありません、といううたい文句をよく聞きますが、正直あれも職種によると思います。筆者は元々営業職で全国各地、時々海外まで行って働いてましたが、正直同じだけ働くのは無理です。
オキサリプラチン+カペシタビンという基本的な組み合わせで臨みましたが、いかんせんオキサリプラチンの副作用であるシビレがキツイ。
私の場合、初日に点滴+2週間投薬その後1週間休薬の3週間が1セット、それを8回というコースでした。点滴後の1週間は食欲不振、下痢、血管痛と色々出てくるので、休むようにしていましたが、それでも点滴のオキサリプラチンがなかなか厳しい。これは累積していく副作用なので続ければ続けるほど痛みと痺れがひどくなります。
もちろん人によって同じ薬でも副作用の出方は様々です。逆に私は幸い、吐き気や味覚異常はどれほど出なかったので、大幅な体重減少はありませんでした。
しかし、途中から投薬量を減らすという事も一般的で、私も4クール目に早くも80%に減らしています。
さて、点滴でも通院で出来るので、確かに働けなくはないのですが、上記の理由で体感最大でも70%の出力がいいところです。職場の理解がなければ継続して勤務というのはおよそ無理だったと思います。前者のパターンでこれですから、よりきつい抗がん剤をしている人は相当苦しいと思います。
ただ、この方式が今のところ一番エビデンスが出ていて標準の治療とされている以上、やらないわけにはいきません。この記事は怪しい未承認の治療を推奨しているわけではありません。言いたいのはやった本人にしかわからないけども、結構きつかった、という事実です。
芸能ニュースなどで抗がん剤をしたという話題を見ますが、これまでは「ふーん、そうなんだ」としか思っていませんでしたが、投薬後も永遠に続く(マシにはなると言われているが基本的には治らないとされている)シビレを実際に体験していると、この人も芸能で今後このシビレが残るのはきついなあと思うようになりました。
さて、幸い私はいったん快方に向かっていますが、このシビレについては困りものです。服のボタンを閉めるときの指先、爪切りを使う時の指先、歩く時の足の裏、ずっとシビレがあります。生活基盤が一般的な会社員であればなんとかなりますが、これが職人だったり、漫画家、演奏家だと収入に直結する大問題だと思います。
私も趣味でピアノとドラムの演奏はしていますが、正直、長時間の演奏はもう厳しいと感じています。現時点では演奏者としての自分はもう引退かなと考えているくらいです。
お陰様で30年ほどバンドを通じて色々と学びましたので、あとは細々とやる程度で、自ら率先してライブイベントとかやることはもうないと思います。あくまで現時点での気持ちですが…
ここまで抗がん剤についてはネガティブな印象の内容になりましたが、補助化学療法としては奏功したのも事実です。ctDNA検査という最先端のリキッドバイオプシーで陽性から陰性になったのは大きいです。
体質や状況、タイミングによって上手くいかないケースももちろんあります。そういった情報に加えて、副作用の話があるとどうしても躊躇する気持ちも分かりますが、今の時代はAIもあり、分析、下調べも格段に精度が上がっています。
もしご自身が癌であったり、身内の方が癌であればひとまずじっくり主治医の意見に耳を傾けて、下調べしたうえで決めてください。正しく知って勝つ、これが今の闘病のトレンドです。
